KYALAMI 9 Hour
2019 INTERCONTINENTAL GT CHALLENGE Round 5
「Kyalami 9 Hour」予選レポート
IGTC2019最終戦予選、35号車は9番グリッド獲得
11月22日(金) 天候:曇り時々雨 路面:ドライ/ウェット
■プレクオリファイ結果:5位:1'42.715(オリベイラ)
■予選結果:9位 1'54.303(バードン)
鈴鹿サーキットで行われた第4戦から約3ヵ月という長いインターバルを経て、インターコンチネンタルGTチャレンジ2019シーズンはファイナルラウンドを迎えた。35号車KCMGチームは南アフリカのキャラミ・サーキットは未経験ながら、鈴鹿で地元ファンの期待に応え好バトルを展開したことで引き続き上位で戦える手ごたえを感じていた。今回のドライバーは千代勝正、ジョシュ・バードンと、昨年までスーパーGTのGT500クラスでGT-Rの実績があるジョアオ・パオロ・デ・オリベイラのラインナップ。舗装が新しくなったコースはGT-Rとの相性が良く、プレクオリファイも5位と予選に向け順調な仕上がりぶりを見せていた。
その後セットアップを進めた35号車の速さは、予選本番でさらに磨きがかかることになった。まずは3人のドライバーがそれぞれ1セッションずつに挑み、ポールシュートアウトに進出する10台が決まる予選。ここで35号車は今季一番のパフォーマンスを見せる。Q1に出走したオリベイラがまず1’42.463をマークし3位とすると、Q2の千代は1’42.466で2位。フリー走行で初参戦のオリベイラにニュータイヤの走行機会を増やしたことで千代自身は今ひとつ感触をつかめておらず、さらにアタック周回でトラフィックに遭うなど決してベストな状態でのアタックではなかったが、それでもエースらしくうまく対応し好タイムを記録した。そして、突如降り出した雨に各チーム翻弄されることになったQ3も、Q2でのラストアタックを回避しQ3の準備にあてるという千代の機転によってスムーズに進み、バードンは4位。この結果、総合トップでポールシュートアウト進出を決めた。
こうして一躍ポール候補の最右翼へと踊り出た35号車だが、雨が降り続きコンディションが変化する中、その対応力が試されることになったポールシュートアウトではやや失速してしまうことになる。ワンチャンスしかないアタックでタイヤの内圧を路面状況にうまく合わせることができず、バードンのタイムは1'54.303に留まり10位。予選後上位1台にペナルティが課せられたことで、35号車は9番グリッドから決勝レースをスタートさせることになった。
■千代勝正コメント
「ウェットでの路面状況にタイヤの内圧をうまく合わせることができず、今期初ポールを獲れる速さがあったにもかかわらず、獲り逃してしまったのはとても残念でした。明日は9位からのスタートで、レースペースではライバルたちに対する優位性は少ないと思いますが、9時間のレースをミスなく走り続ける事が出来れば鈴鹿のときのように上位を争える可能性は十分あるはずです。今年最後のレースということで全ての力を出し切り、チーム一丸となって戦いたいと思います」
2019 INTERCONTINENTAL GT CHALLENGE Round5
「Kyalami 9 Hour」決勝レポート
2019シーズン最終戦、35号車は19位でフィニッシュ
■11月23日(土) 天候:晴れ後雨 路面:ドライ/ウェット
■決勝結果:19位 (251周)8:47’03.272(オリベイラ、千代、バードン)
2月にオーストラリアで開幕したインターコンチネンタルGTチャレンジ2019シーズンは9か月間で五大陸を渡り、南アフリカのキャラミ・サーキットでフィナーレを迎えた。気温28.2℃、路面温度50.8℃、晴天の下でのスタートを切った9時間に及ぶ最後のレースを35号車KCMGチームは9番グリッドからスタート。スタートドライバーをつとめるジョアオ・パオロ・デ・オリベイラは前日見せたポテンシャルを発揮し、序盤からいくつかのアクシデントが起こる中でトップと同一周回を維持しながら着実に順位を上げていった。
ところが1回目のピットインで状況は早くも変化する。35号車は1分30秒のピットイン義務があることから定石通りにタイヤ交換とフル給油を行い2番手の千代 勝正が第2スティントをスタートさせるが、これに対し多くの上位勢が【タイヤ2本以内の交換であれば50秒以内であればピットアウトしても良い】というもうひとつのルールに則りタイヤ無交換作戦を採ってきた。コースの再舗装によりタイヤのデグラデーションが少なかったことで、今回はこの作戦が可能だったのだ。この結果、35号車は上位グループから大きく離れることになる。だが逆に、上位勢がタイヤ交換する際にこちらが無交換ならば上位争いに復帰できる可能性はまだ残っている。
2回目のピットインは通常通りにタイヤ交換を行い、千代からバードンへドライバーチェンジ。パーソナルベストを出して前方を追いかけていく。ここで11位の108号車の真後ろまで迫ったタイミングでフルコースイエロー、続いてセーフティーカーランとなる。このタイミングで3回目のピットイン。ドライバー交代、タイヤ交換は行わず、給油のみで50秒間以内にピットアウトしてアンダーカットを試みる。だが、ピット作業を終えて発進の際に痛恨のエンジンストール。その結果、50秒をわずかに上回ってしまい、ペナルティが課せられることに。セーフティカーが出たタイミングでピットインしたことでここは大きなチャンスだったが、逆に周回遅れとなってしまい自力で上位争いに復帰することはできなくなった。そして、再びアクシデントが起きた際のチャンスをものにするためにその後も35号車はプッシュし続けたが、残り約3時間となったところで、今度は激しい雨が降り始める。このためレースはセーフティーカーランとなり、残り30分あたりまでレースは再開されなかった。さらに再開後、9時間のチェッカーまで残り10分というところで給油ポンプのトラブルに見舞われストップ。35号車はチェッカーを受けられずに19位で最終戦を終えることになった。35号車のインターコンチネンタルGTチャレンジ1年目は獲得ポイント8、予選最高位2位、決勝最高位6位という成績で幕を閉じた。
■千代勝正コメント
「これまでの戦いではピットインの際、毎回タイヤ交換するのが定石だったのですが、舗装が新しくなったキャラミはタイヤがあまり減らなかった。コース上では健闘できたと思いますが、戦略的な面でライバルに太刀打ちできませんでした。昨日の段階で速さに手ごたえがあっただけに残念な結果です。1年を振り返ると、初挑戦となったIGTCは本当にレベルが高かったと思います。その中で狙っていた結果を出すことはできませんでしたが、鈴鹿というハイライトもあったし、ドライバーとして多くのことを学ぶことができました。GT-Rで世界のトップと戦えたことに感謝しています。今年は日本で走りをお見せする機会が少なかったにもかかわらず、たくさんの方が応援し続けてくださったことに感謝しています。1年間ご声援有難うございました」