2022 SUPER GT Round 3 SUZUKA GT300 KM RACE
2022 AUTOBACS SUPER GT Round 3
「たかのこのホテル SUZUKA GT 300km RACE」予選レポート
SUPER GT 2022 第3戦、3号車Zは予選3位
5月28日(火) 天候:晴れ 路面:ドライ
■公式練習結果:4位 1'46.150(千代)
■公式予選結果:3位 1'44.425(高星)
富士スピードウェイでの第2戦から今回の鈴鹿サーキットで行われる第3戦までの3週間という短いインターバルは3号車「CRAFTSPORTS MOTUL Z」にとって、他チーム以上に短いインターバルだった。前戦の大クラッシュでドライバーの高星 明誠に怪我がなかったのは幸いだったが、マシンの方はそうはいかず、チームはスペアパーツを使い、一からマシンを組み上げなければならなかった。したがって土曜日の公式練習は持ち込みから予選、決勝に向けセットアップを進めるという通常のルーティンではなく、シェイクダウンから始めなければならないハンデを背負うことになった。
そのマシンに最初に乗った千代勝正の感触は予想以上のものだったが、初期トラブルが発生したことから修復のために時間が割かれ、予定していたメニューを消化する事が出来なかった。さらに、いつも以上に必要だった高星の練習走行も不十分となってしまった。今回ばかりは、開幕2戦のような上位での戦いは難しいと思われた。
ところが3号車Zは、まるで あの第2戦が幻だったかのような戦いぶりを予選で見せた。5月とは思えないほどの暑いコンディションとなった中、午後3時28分から開始された予選Q1で千代は2分を過ぎたあたりでコースインすると、アウトラップと1周のウォーミングアップを経てアタック。最初にアタックしたライバルのタイムから上位は44秒台後半で争われると予想された中、いきなりコースレコードを上回る1分44秒230という驚異的なタイムを叩き出した。このタイムはその後、最後まで破られないばかりか、2位でさえコンマ6秒落ちのタイムをマークするのがやっと。ここで戦前の予想は一転。3号車Zはポールポジション筆頭候補へと躍り出ることになった。
Q2を担当する高星は公式練習でマシンの状態を把握することができていなかったが、千代の走りを見てマシンバランスもタイヤも、非常に良い状況であることを確信。リハーサル不足ながらも自信を持ってアタックに臨んだ。そしてQ1と同じルーティンのウォームアップ後、アタックラップに入ると、予想していたよりもはるかに高いポテンシャルを3号車Zに感じ、タイムは1分44秒425に留まるが、それでもトップに立ち、ライバルたちのラストアタックを待った。その結果、2台が上回るタイムを叩き出し、3号車Zは3位で予選を終了。ポールこそならなかったものの、優勝を争った第2戦と同じ3番グリッドを獲得し、第2戦で逃した優勝への期待を膨らませた。
■千代 勝正コメント
「公式練習では小さなトラブルや赤旗もあり、セットアップが思うように進められず、高星選手の走行機会も削られてしまったのは不運でしたが、その中で考えられるベストなセットアップをして、今日のコンディションに強いミシュランタイヤを信じてQ1に挑んだ結果、鈴鹿では今までで最も良いアタックができたと思います。高星選手は練習走行で予選シミュレーションが出来ない状態でのアタックでしたが、それでも3番手を獲得してくれました。明日は昨年、優勝一歩手前の2位まで上がった時と同じく暑くなりそうな予報ですし、3番手からレースができるというのは、ベストに近い状況です。あとはドライバーが走りで結果を出すだけです」
2022 AUTOBACS SUPER GT Round 3
「たかのこのホテル SUZUKA GT 300km RACE」決勝レポート
SUPER GT 2022 第3戦、3号車Zが完璧なレースで優勝を果たす
5月29日(日) 天候:晴れ 路面:ドライ
■決勝結果:1位 1:55'50.895 52周(千代→高星)
決勝日の鈴鹿は朝から雲ひとつない天気となり、暑さは前日よりも増した。気温30℃、路面温度50℃は、真夏並みの過酷なコンディション。だがその暑さはイコール、ミシュランタイヤの強みは発揮できる暑さでもあり、大きな武器ともなる。その通りに決勝前のウォームアップ走行で3号車「 CRAFTSPORTS MOTUL Z」は最速を記録し、レースでもスタートから驚異的な速さを見せた。
スタートドライバーをつとめる千代勝正はタイヤの温まりが早いミシュランタイヤの強みを活かし、3番手スタートから1-2周が最大のチャンスと考えていた。そしてスタートダッシュに成功し1コーナーの先で2位に浮上すると、すぐにトップにも近づき、後半セクションの抜きどころである130Rでなんなくオーバーテイク。プラン通りにトップに浮上し、なおもリードを広げていった。2周目に1台がトラブルでストップしフルコースイエローが出されるが影響は特になく、リスタート後も3号車の快進撃は続いた。
11周目に再びコース上でアクシデントが起こり、今度はFCYからセーフティカー導入となった。3号車Zが築いてきた2位との約3秒のギャップはここで一旦リセット。しかしリスタート後も速さは変わることなく、トップをキープしたままレースはピットインが行なわれる中盤を迎える。GT500クラスのピットインミニマム周回は18周目からで、3号車Zも周りの動きとトラフィックの状況を見て22周目にピットイン。第2スティント担当の高星明誠を乗せた3号車Zはトップのままコースに復帰すると、前半同様のペースで2位とのギャップを広げ始めた。
30周目あたりで2位に20秒近いギャップを築いていたことで、3号車の優勝の可能性はかなり色濃くなっていた。それは大きなマージンがあったというだけでなく、タイヤをセーブしながらも2位以下のどのマシンよりも速いペースを維持していたからだ。そして、その後39周目に2度目のセーフティカーが出されることになりマージンは再びゼロになってしまうが、44周目のリスタートでも危なげなくトップをキープ。残り9周の間も2位とのギャップを広げ続け、3号車Zはそのままトップでチェッカー。新型Zにとっての、そしてGT500クラスでの千代と高星にとっての、メモリアルな初優勝を達成した。
■千代 勝正コメント
「スタートからの1、2周をチャンスだとは捉えていて、スタートで2位に浮上した後、トップとはシケインで勝負になると思っていましたが、Zのストレートの伸びが良く130Rで前に出られたのは予想以上の展開でした。後半はSCでギャップがなくなってしまいましたが、今回のミシュランタイヤのウォームアップ性能があれば、アクシデントさえなければ高星選手がトップをキープしてチェッカーを受けてくれると信じていました。この5年間、勝てそうで勝てないレースを何度も経験してきましたが、今回は本当にチームが素晴らしく、クルマもタイヤも戦略もピットワークも、全てが噛み合っていました。前戦で大きなアクシデントがあってから激動の3週間だったので、気合も入っていましたし、これまで僕を信じてご支援し続けて頂いたスポンサーの皆様とファンの皆様にようやくGT500クラス優勝という報告をお届けすることができて良かったです。そして次の目標、チャンピオンへ向けて、さらに頑張りたいと思います。」