F3 SUGO レポート
2016年全日本フォーミュラ3選手権
第15戦、第16戦、第17戦レポート
1か月半ぶりの復帰戦、第15戦予選は2位フロントローを獲得
決勝は土曜日にクラッシュを喫し、3戦とも下位に沈む
9月24日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ
■第15戦公式予選結果:2位 1’13.322
■第16戦公式予選結果:4位 1’13’651
■第15戦決勝結果:リタイヤ
4月に開幕した全日本フォーミュラ3選手権2016シリーズは、約6ヵ月間の激闘を経て最終ラウンドへ。宮城県のスポーツランドSUGOを舞台に二日間で3戦というスケジュールの今回、この日は第15戦、第16戦予選および第15戦決勝が行われた。8月初旬のスーパーGTで負傷し第11戦から第14ラウンドまで欠場を余儀なくされていた「B-MAX Racing Team With NDDP」の千代勝正にとっては、約1ヵ月半ぶりの復帰戦。木曜、金曜の二日間で計4セッションの占有走行が行われ、感覚を取り戻しながら、総合4位とまずまずの滑り出しを見せていた。
前夜降った雨が上がり晴天となったこの日は、朝から気温も上昇。午前10時10分からの第15戦予選は、ドライコンディションでスタートした。千代は集団の前方に位置取りコースインすると、3周のウォームアップ周回を経てアタックを開始。4周目こそ1’21.120に終わるも翌5周目には渾身のアタックを見せ、従来のコースレコードを破る1’13.322をマークし2位に浮上してみせる。ラストとなる6周目にもタイムを更新するマシンが数台いたが千代の2位は変わらず、復帰戦のグリッドを今季4度目のフロントローで飾ることになった。ブランク明けではあったが占有走行4セッションを経て徐々に調子を取り戻し、マシンのセットアップに関しても同じく順調に進んでいることをうかがわせた。
第15戦予選終了から10分のインターバルをはさみ、第16戦の予選が開始された。午後に近づくにつれ日差しは増し、わずかな時間差ではあったものの路面コンディションは微妙に変化。前の予選で手ごたえを感じていた千代は今季まだ果たしていないポールポジション獲得の最後のチャンスとなるこの予選で、そのチャンスをものにすべくセットアップを変更し勝負に出た。だが、想定していたマシングリップは得られず4周目にマークしたタイムは1’13.651で4位留まり。チェッカーまでにもう1周アタックチャンスが残されていたがさらなるタイムアップはならず、4位のままで第16戦の予選を終えることとなった。
午後になりやや涼しくなったSUGOだったが、コンディションはほぼ変わらず午後2時40分に第15戦決勝がスタートした。フロントロー2番手のグリッドについた千代はコース幅が狭いSUGOということでまずはスタートでポジションアップを狙うが、トップが好スタートを切ったため2位キープのまま1コーナーをクリア。その後も反撃が期待されたものの序盤からマシンはアンダー傾向でなかなかペースを上げられず、トップからは徐々に離されていく展開となる。だがそんな中、3位との約1秒のギャップは守り続け、2位フィニッシュでまずまずの復帰戦レースとなる可能性は高かった。
ところが迎えた16周目、アクシデントにより千代は戦線離脱を余儀なくされる。最終コーナーで若干ラインを外してしまったことが原因でフロントがグリップ不能に陥り、なんとか立て直しを図るも汚れた路面ではそれもままならずコースアウト。マシンはバリアにクラッシュしまった。幸い怪我はなかったものの、千代は復帰戦レースを痛恨のリタイヤをで終えることとなった。
9月25日(日) 天候:晴れ 路面:セミウェット/ドライ
■第16戦決勝結果:7位 22’54.041(18周)
■第17戦決勝結果:8位 26’53,211(18周)
第16戦、第17戦の2回の決勝が行われるシーズン最終日、雨上がりで濡れた個所を残したままの路面コンディションでまずは午前8時30分より第16戦決勝が行われた。各マシンはドライタイヤでスタート。抜き難いといわれるSUGOではスタートの良し悪しが順位に大きく影響することになるが、その微妙な路面コンディションがまずは明暗を分けることになった。
グリッドは日陰になるイン側のみが濡れている状態だったことで、スタートではかなり順位が変動。前日のクラッシュからなんとかマシン修復に漕ぎつけた「B-MAX Racing Team With NDDP」の千代勝正もイン側の4番手だったことでスタートはうまく行かず、ここで5位に後退することになった。そして、そこからの反撃が期待されたがタイヤのウォームアップにやや苦戦、徐々に後続から追い上げられ2周目には6位に後退してしまう。その後も順位を上げていくほどの勢いはなく、終盤の16周目には7位に後退し18周のレースを終えた。
この日のSUGOは朝から晴天が続き、午後は9月下旬とは思えない陽気につつまれた。2016年のフィナーレとなる第17戦の決勝は絶好のドライコンディションの下、午後1時30分に開始された。
午前に行われた第16戦の順位がグリッド順になるというルールにより、千代はこのレースを7番グリッドからスタートすることになった。前日の予選ではフロントローを獲る速さを見せていることで最後のレースでは上位進出の期待がかかったが、その最初のチャンスとなるスタートで出遅れてしまいオープニングラップは8位に後退し通過。速さがあったとしてもオーバーテイクが難しいこのコースでは、以後も中団から抜け出すのは難しいと予想された。そして予想通り、前のマシンに対しセッティングの違いからセクター1からバックストレートにかけてはペースで上回れるものの最終コーナーの立ち上がりからホームストレートでは逆に劣勢となり、なかなか決定的なチャンスは訪れず。3周目にセーフティカーが入り7周目のリスタートの際もオーバーテイクを狙ったが、このチャンスも活かすことができなかった。その後も膠着状態から抜け出すことができなかった千代は、午前の戦いを経て取り戻していた本来の走りを活かせることなく最終戦を8位のままでフィニッシュ。2016年シーズンを1勝、獲得ポイント34、ランキング6位という成績で終えた。
■千代勝正コメント
「今回は、GTでの怪我から1ヶ月半ぶりの復帰戦という事で、まず感覚とスピードを取り戻す事が一番の目的でした。その点では毎年僅差になるSUGOの予選でフロントローを獲得できた事はまずまずだったかなと思いますが、決勝に関しては、土曜日にクラッシュしてしまい、そこから流れを取り戻す事が出来ませんでした。
今シーズンを振り返ると、F3は苦戦続きとなりましたが、その中で毎戦、毎戦学ぶことがありレーシングドライバーとしてレベルアップが果たせたことは間違いありません。参戦できて本当に良かったと思いますし、この機会を作ってくれた日産・ニスモ・B-MAXチーム・スポンサー各社・そして関係者の皆様に感謝しています。」