F3 富士レポート
2016年全日本フォーミュラ3選手権
第9戦&第10戦公式予選、決勝レポート
予選は第9戦、第10戦ともに2位フロントローを獲得
荒れた第9戦決勝は4位フィニッシュ
7月16日(土) 天候:曇り時々雨 路面:ウェット/セミウェット
■第9戦公式予選結果:2位 1’53.170
■第10戦公式予選結果:2位 1’50’477
■第9戦決勝結果:4位 30’09.411
全日本フォーミュラ3選手権2016シリーズは、5月に行われた第2ラウンドと同じ富士スピードウェイで第9戦&第10戦を迎えた。今季搭載した新エンジンのパワーを活かし「B-MAX RACING TEAM」は、その5月の富士では大活躍を見せている。また梅雨の時期とありこの2日間も雨の可能性が高くなっているが、金曜日の占有走行でウェットセッションとなった1回目で千代は2位につける速さを見せており、どちらに転んでも上位争いとなることが期待されていた。
予想通りこの日の富士は朝から霧雨につつまれ、路面はウェットコンディション。しかし第9戦の予選が始まる午前10時頃には雨は上がっており、周回を重ねる毎に路面は乾きタイムもアップしていくという展開となる。1周でも多くラップしたい各マシンは開始から一斉にコースインし、チェッカーまで連続でアタックを行った。そんな中、千代は3周目に1’54.276をマークし2位に浮上すると、グリップが不足していると感じながらも4周目には1’53.170までタイムを伸ばすことに成功。最後のアタックとなった5周目はややミスを喫しベストタイム更新はならなかったが、4周目のアタックの時点で3位に大きな差をつけていたことで2位を守り切った。午後の決勝は第6戦以来のフロントローという好位置からスタートすることとなった。
その後10分のインターバルをはさみ、第10戦の予選が開始。雨は再び降りだすことはなく前の予選同様、この予選もアタックを重ねる毎にタイムが上がっていく展開となった。そして開始からやはり各マシンは一斉にコースインしていくことになったが、千代はマシンのアジャストを行ったことでタイミング良くコースインすることができず集団の中に入ってしまう。アタック毎に順当にタイムを伸ばし2位をキープし続けたものの、クリアラップにはなかなか恵まれなかった。しかし迎えたラストアタックでようやく前が開け万全なアタックができる状況となると、それまでのベスト1’51.745を一気に1秒以上縮める1’50.477をマークすることに成功。トップには届かなかったが連続2番手を獲得し、明日の第10戦決勝もフロントローからスタートを切ることになった。
雨は結局予選終了後、微量ながらも降ったり止んだりを繰り返すことになり、路面は完全に乾かないまま第9戦決勝が始まる午後4時15分を迎えた。しかしこの時点では雨は止んでおり、コースインで状況を確認した結果ほとんどのマシンがドライタイヤを選択。この微妙なコンディションにより、レースは荒れることになった。2番グリッドの千代もスタートで出遅れ4位に後退すると、さらに2周目には5位。その後はペースを取り戻し7周目に4位復帰に成功するが、バトル間に3位に約5秒の差をつけられこれ以上の浮上は難しくなる。また8周目に交錯した2台のマシンが1コーナー付近でストップしてしまったためセーフティカーが出されギャップをつめるチャンスが訪れるも、今度はリスタートで混乱の中ポジション取りが悪く、逆にまた5位へと後退を余儀なくされる。千代はその翌周に4位を取り戻すと14周目にはファステストラップを記録するなどの猛追を見せ、3位に最終ラップの最終コーナーで並ぶことに成功したが、わずかコンマ03秒届かず結局3位浮上はならず。4位でチェッカーを受けることとなった。
千代勝正 土曜日コメント
「昨日からウェット、ドライいずれも良い流れできていたことで、フロントローからスタートできる午後の決勝ではチャンスがあると思っていました。しかしスタートはやや慎重に行き過ぎてしまったため失敗し、その後もウォームアップがうまく行かず序盤はペースに苦しみました。また路面が乾いてくるにつれペースは上げられるようになりましたが、リスタートでも混乱の中に入ることになり、さらに残り3周しか順位を上げるチャンスがなかった中、途中黄旗区間があったことで追いきれませんでした。結果的には4位でしたが、マシンの調子も良く今日ファステストラップがとれたことは、また違ったレース内容になるであろう明日に向けポジティブに捉えています」
2番手スタートから逆転、今季初優勝を達成!
7月17日(日) 天候:曇り 路面:セミウェット/ドライ
■第10戦決勝結果:1位 37’05.246(21周)
前日降り続けた霧雨はおさまっていたものの路面は完全に乾かないまま10時15分、全日本フォーミュラ3選手権第10戦決勝はスタートの時を迎えた。前日のレースでは結果的にグリッド順から後退してのフィニッシュとなった「B-MAX Racing Team with NDDP」の千代勝正だったが、ファステストラップをマークするなど速さそのものは優勝を争うレベルだった。そのときに似たコンディションはさらに、優勝への手ごたえを感じさせた。
だがスタートグリッドにつくとイン側の2番グリッドはアウト側に比べ路面は濡れており、慎重にスタートを切った千代だがホイールスピンは免れず3位に順位を落としてしまう。その後のプッシュによって8周目にファステストをマークし2位に返り咲くも、トップとの差は約3秒まで広がっていた。トップのマシンは今回の富士ラウンド絶好調で2戦ともにポールを獲得、前日のレースでは圧倒的な速さで優勝を果たしている。3秒のギャップはかなりのハンデであると思われた。しかし千代はその後、トップよりもコンマ3秒からコンマ5秒速いペースでギャップを徐々につめていく。この日のレースは前日より長い21周ということで、終盤トップ争いのバトルに持ち込める可能性が見えてきた。
そんな千代のもとに17周目、トップ浮上への絶好のチャンスが訪れる。1コーナーで接触した1台がストップしてしまい、セーフティカーが導入。トップとのギャップはここでなくなった。セーフティカーランは3周にわたり行われ、リスタートは20周目。オーバーテイクを仕掛けるチャンスは2周しかなかったが、リスタートの瞬間こそが最大のチャンスだと千代は照準を定める。そしてタイヤを入念に温めるとトップのマシンのスリップにピタリとつけ、1コーナーでアウト側から鮮やかに抜き去った。その後のトップ2台によりバトルがチェッカーまでの2周の間繰り広げられたが千代は最後まで僅差を守り抜き、今季初優勝を達成した。
千代勝正 日曜日コメント
「スタートはイン側の方がアウト側に比べかなり濡れていて順位を守ることが難しく、序盤2位争いに少し時間を掛けてしまい、ヤンにギャップを作られてしまいました。結果的にセーフティーカーを上手く使って勝つことができましたが、序盤のペースの悪さや、細かいミスなど、課題も見つかったレースだったので、素直に喜んではいられませんが、後半戦に向けて、この優勝がはずみになればと思っています。今回も沢山の応援ありがとうございました!」