2023 SUPER GT Round 4 FUJI GT 450KM RACE
2023 AUTOBACS SUPER GT Round 4
「FUJI GT 450km RACE」予選レポート
SUPER GT 2023 第4戦、3号車Zは予選4位
8月5日(土) 天候:晴れ 路面:ドライ
■公式練習結果:10位 1'29.627(千代)
■公式予選結果:4位 1'28.114(千代)
トップでチェッカーを受けながら数時間後に4位降格という、後味の悪い結末となった第3戦から約2ヵ月。3号車「Niterra MOTUL Z」は気持ちを切り替え、正真正銘の今季初優勝を果たすべく富士スピードウェイでの第4戦に臨んだ。今週末、各チームが気にかけていたのが台風6号の影響。土曜日はまだ影響はなく朝から晴天となり、午前の公式練習、午後の予選ともにドライコンディションで行われた。
サクセスウェイトが50kgを超え、燃料リストリクターの制限を受ける3号車Zにとって約1.5kmの長いストレートが特徴の富士スピードウェイはやや戦いにくいサーキット。この長いストレートでのパワー不足をいかに補うか、公式練習でチームは試行錯誤し、マシンを仕上げていった。その結果、決勝に向けてはまずまずのフィーリングを得ることに。しかし、最後の専有走行の際に赤旗が出たことで予選アタックシミュレーションが行なえず、午後の予選に向けてマシンバランスを確認できないまま挑むことになった。
午後3時53分からの予選Q1では、3号車Zは高星 明誠がアタックを担当。10分の時間帯の中で3号車Zは15台中最も遅くコースインすると、1周のみタイヤを温め計測2周目にアタックへ。まずは1分28秒448をマークし、Q2進出圏内につける。高星はさらに、続けてもう1周アタック。ここではベストタイム更新とはならなかったが、最初のアタックタイムで6位に踏みとどまり、Q2進出を決めた。
この高星の連続アタックには、大きな意味があった。最後のアタックはベスト更新を狙ったものではなく、計測2周目か3周目か、Q2を走る千代がコンディションに対し的確に判断できるようデータを残すためだった。そして約30分後に行われたQ2では、千代はQ1と同じく最後にコースインし、Q1のデータを参考に計測3周目に照準を絞ってアタックに挑んだ。その結果1分28秒114という好タイムをマークし、Q1から2ポジションアップの4位となった。ランキング上位の中では最も前のグリッドから明日のレースをスタートする。
■千代 勝正コメント
「公式練習でアタックシミュレーションができず、やや不安だった中で高星選手は非常に良い走りをしてくれました。そのQ1のデータを見ると計測3周目のセクター1、2が伸びていたので、Q2では路面温度が少し下がることも考えて計測3周目をターゲットにしました。その結果、Q2は久しぶりで少し緊張したものの、タイムも順位も上々の出来でした。明日はレース中に天候が変わることが予想されるので、臨機応変な対応が求められます。チームとうまくコミュニケーションして、前方からスタートできるメリットを活かし、最後まで気を抜かずに戦います。前回優勝がなくなった分を今回、取り戻してしてみせます」
2023 AUTOBACS SUPER GT Round 4
「FUJI GT 450km RACE」決勝レポート
SUPER GT 2023 第4戦で3号車Zが今季初優勝、ランキングトップへ
8月6日(日) 天候:雨 路面:ウェット
■決勝結果:1位 3h45'06.900 100周(千代→高星)
決勝日は台風6号の影響を受け、雨は朝から降ったりやんだりを繰り返した。午前中降っていた雨はお昼頃に一旦やみ、決勝スタート前のグリッド整列時に再び降り出し、午後1時45分のスタート直前にはまた止んだ。この急な路面変化を鑑み、100周のレースはセーフティカー先導でのスタートとなった。
路面はまだ濡れていたため、全車がウェットタイヤを装着。2周でセーフティーカーは解除され、3周目にレーシングスピードでのリスタートとなり、激しいポジション争いが開始される。その中で最も躍動したのが、千代 勝正がスタートドライバーを務めた3号車「Niterra MOTUL Z」だった。4番手からミシュランタイヤのウェット性能の高さを活かし2位へと浮上すると、その翌周のダンロップコーナーでトップに浮上。しかし、ここから強い日差しで路面は急速に乾いていった。
11周目にGT500クラスの1台がスリックタイヤに交換するためにピットに入ると、他の車両も続いてピットインし、スリックへ交換してコースインしていく。ここでスリックへの交換が最も遅かったのが、15周目に入った3号車Zで、5位でコースへ復帰。17周目にはスタートポジションの4位に戻すも、そこからは順位キープに留まった。35周目にセーフティカーが入ったことでギャップは縮まったが、その後も4位のままレースは中盤へと差し掛かった。
3号車Zは56周目にルーティンのピットインを行い、ドライバーは千代から高星 明誠へ交代してコースイン。3位に接近した後、しばらく表彰台を賭けたバトルが続いた。うまく行けば表彰台――サクセスウェイトを考えると、そんな展開が3号車Zにとって今回のベストな戦いだと思えた。
66周目、2度目のセーフティカーが導入された。このアクシデントは重大で、ストップしたマシンが激しく炎上。消火作業に集中する為にレースは赤旗中断となった。約45分間の赤旗中断中に再び雨が降り出す。このため全車ウェットタイヤへの交換が許可され、セーフティカーランからレースは再開。3号車Zは雨に強いミシュランタイヤの特性を活かして快進撃を見せる。
3号車Zはリスタートからわずか2周でトップに浮上すると、その後も圧倒的なペースでギャップを築いていく。残り20周の時点で約15秒、残り10周の時点で約30秒に広がっていた。雨はすでに止んでおり、このあたりでスリックタイヤ有利の状態となっていたが、それでも3号車Zのペースが衰えることはなかった。そして、最終的に2位に45秒もの大差をつけてトップでチェッカー。第3戦のリベンジを見事果たし、ランキングトップでシリーズ後半戦へと向かった。そして千代、高星にとってGT500クラスでの富士、初勝利でもあった。
この圧勝劇の裏には赤旗中断中にダンロップコーナーまで降りて、自らの目と経験からリスタート後に使用するウェットタイヤを決断した千代のファインプレーがあった。
■千代 勝正コメント
「前回の鈴鹿は優勝だったとしても決して実力ではなかったので、今回は実力で勝てるようにこの2ヵ月、チームはしっかりと準備してきました。おかげで良い位置からレースをスタートすることができました。前半リードを築きながらスリックに変えるタイミングが遅れてしまい、中盤は4位でレースをすることになりましたが、最後にまた天候が味方をしてくれました。チームの底力とミシュランタイヤのパフォーマンスの高さが証明できて良かったです。これでランキングトップに立ちましたが、チャンピオンを獲得することがいかに難しいか、去年の経験でチームも自分も良く分かっているので、後半戦も気を引き締めて戦っていきます。雨の中、ゴールまで声援を送ってくださったファンの皆さま、ありがとうございました!」